ロックダウン継続中

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ロックダウン継続中

8月17日、ニュージーランドでは約半年ぶりにコロナの市中感染が1名確認され、ニュージーランド全土でロックダウンに入りました。
今日、8月31日の新規感染者は49名、今回の市中感染者の累計は今日までに612名となっています。

ロックダウンに入った当初、海外のメディアはたった1名でロックダウンと驚きをもって報道していましたが、その後、感染者が続々と増えていることもあり、ニュージーランドのコロナ対策もついに限界かというような報道も流れているようですね。
ニュースで伝え聞いていたデルタ株の猛威がいよいよニュージーランドにも上陸し、その感染力の強さとスピードの速さには戦々恐々としています。しかしその割には国内の雰囲気は比較的落ち着いていて、若干の反対意見は聞こえて来るものの、国民の殆どは粛々とロックダウンの規制に従っていると感じます。
これは毎日のように行われる会見でアーダーン首相や新型コロナウイルス対応大臣、保健局長といった面々から、科学的データに基づいた明確なメッセージが日々伝えられている事が大きいと思います。

Jacinda

かく言う私も1時のショーと呼ばれる政府会見(時々4時)をリモートワークをしながら良く見ておりますが、なんのためにロックダウンをしているのかがクリアだからこそ、真面目にステイホームしてますし、今回も封じ込めに成功する可能性はあると感じています。

ではその会見ではどんな発表があるのでしょうか?
そのお話をする前に、まずはニュージーランドのコロナ政策についておさらいしましょう。

<ニュージーランドのコロナ政策>
医療体制が脆弱な南太平洋諸国の玄関口でもあるニュージーランドにとって、伝染病の蔓延は自国だけの問題ではありません。2019年~20年にかけての痲疹の流行ではその範囲がサモアやトンガ、フィジーにまで拡がった苦い経験もあり、ニュージーランドは昨年、コロナ禍が始まった当初からコロナ排斥政策をとって来ました。これはコロナを完全に防ぐことは出来ないけれども、水際での流入を出来るだけ押さえ、市中に流入する度に徹底した対策でコロナを撲滅するというものです。

◎隔離措置
水際での流入を防ぐ第一の守りは入国者の隔離措置です。
現在、ニュージーランドは留学生が渡航出来ない状況ですが、国境は完全に閉じられている訳ではなく、市民権、永住権をもつ国民の帰国や特別許可を得た人の入国は未だ続いています。コロナ禍が始まってから今年の7月までに約16万人がニュージーランドに入国しています。そうした人々は政府指定のホテルで2週間の強制隔離期間を経て、コロナ検査をクリアした上でニュージーランドに入国しています。水際の隔離施設では今までにもデルタ株の陽性者が確認される事があったそうです。デルタは既にニュージーランドに上陸していたわけですが、水際で食い止められていたわけですね。

◎ロックダウン
昨年アラートシステムが導入され、コロナの感染拡大状況によって警戒レベルが4段階に区分され、それぞれのレベルで国民に求められる行動が決められています。アラート3とアラート4がいわゆるロックダウンになります。
今回のロックダウンの前、長い間、市中感染がなかったことから、正直、国民の気が緩みきっていたことは否めませんが、隣国オーストラリアでデルタ株が急増していたこともあり、デルタ株が市中に流入したら即刻ロックダウンという方針は政府から示されていました。

<市中流入後の対策>
市中に流入したと分かったとたんロックダウンに入り、その後、以下のような対策が取られています。デルタ株の伝染性の高さから、今回は今までにない一層強い措置が取られていますが、こうした対策について、日々の会見で更新された情報が発信されますので、国民は何が起こっているか知る事が出来るわけですね。

◎ウイルスのゲノム解析
ゲノム解析と追跡調査により、今までに結果が出ているケースは全て8月7日にオーストラリアから帰国した人のケースに関連づけられています。

◎感染経路の特定
隔離施設からコロナが流出した経路はまだ特定出来ていませんが、隔離施設のスタッフの検査を徹底し、考えうる全ての流出経路に対策を講じています。

◎追跡調査
陽性者の追跡調査により、幅広い立ち寄り場所や接触者の特定が進められ、2万人を超える人の追跡調査を行っています。

◎立ち寄り場所の公表
陽性者が立ち寄り他の人に感染の可能性があった場所が続々と発表され、その場所に同時間にいた人は検査を受けるように呼びかけられています。現在までに500ヶ所近い場所が公表されています。

◎下水検査
下水からのコロナウイルスの検出も発表され、陽性者がいる可能性のある地区が発表されます。

◎大規模検査
今回の市中感染が確認されてから、2週間の間に約40万件のPCR検査がおこなれました。立ち寄り場所として公表されたリストには10校を超える現地校が含まれますが、学校では全ての生徒とスタッフが複数回の検査を受けるよう指示されています。下水からウイルスが検知された地区でも検査が進められ、陽性者が発見されました。

◎隔離
重症患者は入院ですが、それ以外の陽性者は政府の隔離施設に滞在し、濃厚接触者は自宅隔離の措置が取られています。

◎ワクチン接種の促進
ワクチン接種のスピードアップが計られ、9月1日からは12歳以上の全ての人が接種を受けられるようになります。

さて、ニュージーランド政府が行っている対策についてざっくりと纏めてみました。
オークランドではまだ新規感染者の発表が日々続いていますが、ここ数日の陽性者はロックダウンが始まってから家庭内で感染したケースが増えています。ロックダウン前に市中感染した人の割合が減り、感染者数のカーブが緩やかになる兆候も見え始め、ロックダウンの効果が出始めているのが期待されますので、ここしばらくが正念場かなと思います。
他国のニュースをみていると、陽性者が隔離を拒否して逃亡したり、ロックダウンの規制を破ってパーティを開いて感染が拡がっている例もあり、中々感染拡大が収まらないようです。ニュージーランドにはまだ感染を収束させるチャンスがあると思っていますが、ロックダウンを破る人が増えれば皆の努力が水の泡になってしますので、ここが我慢のしどころではないでしょうか。
頑張れニュージーランド!

ニュージーランドの状況については下記リンクのページでも随時情報を更新しておりますので、ご参照下さい。
コロナ渦のニュージーランド留学