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E-CUBE
テレビのコマーシャルを割り振りすることはクライアントと視聴者の気持ちを結ぶこと
佐藤 文
SKY Network Television Limited Advertising-Sales Administrator
1979年生まれ。東京都出身。日本で高校入学直後に留学を決めすぐにNZの高校に入り直す。その後AUTのビジネスコースに進む。大学4年の時にオーストラリアの広告代理店へインターンシップで行き、広告業界での就職を本格的に考える。スカイテレビの面接では、5年後の自分の目標は?自分の上司にはどんなマネージメントを期待する?などの質問の他に、スカイテレビでは深夜にアダルトプログラムも放送しているがそれに対して抵抗はないか?という独特の質問もあったという。現在はワークビザで滞在。

ニュージーランドの衛星放送スカイテレビで働く佐藤文さん。
彼女は、どの時間帯に、どのCMを入れるかを決めていくセクションに所属している。
CMの組み合わせでは、クライアントの希望があったり、一緒に重ねられないCMがあったり、パズルを解いているようであると言う。
また、テレビの放送を裏方で支える仕事はどちらかと言えば地味であるが、やりがいのある仕事であると語ってくれた。
NZへの留学
 英語に興味を持ったのは中学生のときでした。英会話の授業の先生がカッコよかったので、がんばって勉強しようと思ったのが始まりでした。その後、アメリカやオーストラリアに短期のホームスティに行き、海外で暮らしてみたいと思うようになっていきました。
 高校に入ってからさらにその思いが強くなり、思い切って留学することにしました。そしてすぐにオークランドに来たのです。今になって考えると少し無謀だったのかも知れませんが「なんとかやっていくしかない」という気持ちが強く、すべてにおいて気が張っていたのでしょう、来た当初から、日常生活や授業であまり不便さを感じていませんでした。ただ、英語の先生の助言もあり、使う辞書を英和から英英に変えました。これは英語そのものに慣れるのに役に立ちました。
 NZでは、授業の進め方やテストついて戸惑いを感じた部分がありました。日本での授業はどちらかと言うと先生から生徒への一方通行ですし、テストも教科書やノートを暗記したもので答えを書くといったものです。しかし、こちらでは授業中に意見を求められることが多く、テストでは「この表を分析しなさい」といった論述式が多くあったため、初めは何をどう答えていいのかわかりませんでした。
 その後、こちらで大学のビジネスコースに進学し、広告論と国際ビジネスを専攻しました。提出するレポートの量には少しへきえきしながらも、英語に取り組んでいました。学校には留学生向けのサービスで書いたレポートの英語などをチェックしてくれる人がいたので、提出日が近くなると足繁くそこに通っていました。


転機となるインターンシップ
 大学の4年生のときに私の意識が少し変化しました。高1でこちらに来て以来、英語の面でも生活の面でも、がんばりましたし、それなりに苦労もしてきたとは思うのですが、どちらかというと順風満帆でした。それだけに、なんとなくこのままではいけないのではないだろうかという気持ちがありました。その気持ちを実行に移すようになったきっかけはインターンシップのときでした。
 学校で広告論を専攻していた私は、研修でオーストラリアの広告代理店に3ヶ月間お世話になりました。そこで今まで勉強してきたことと、実際の仕事の違いに大きなギャップを感じたのです。
 上司に「A社をクライアントとしてアプローチしたいから、調べておいて」と言われたときのことです。私は今まで学校で提出していたレポートのようにプランを作りました。毎日仕事が終わってから2,3時間費やし、約1週間かけてしっかりとA社についてリサーチをして30ページくらいのレポートを完成させました。
 ところが、それは上司が求めているものとは違うものでした。彼はランチの時間にでも読める、短くまとめられたもの、本当に必要なデータを作ってほしいと思っていたのです。そこで私は泣く泣く30ページのレポートのほとんどをカットして数ページに収めました。リサーチをしたことは決して無駄にはならなかったと思います。しかし実際のビジネスではそのすべてを示す必要がない場合もあることや、相手の立場や状況を考えてレポートを作成する必要があると感じました。
 このインターンシップ以来、些細なことでも自分の専攻科目であるマーケティング、広告論につながるようにしようと思い、例えばスーパーでは必ず前の人の買い物カゴを覗いて、どんなものを買っているのか?どんなブランドの商品が入っているのか?値段の高いブランドのトマトソースを買う人は他の食品でも値段の高いブランドを選ぶのだろうか?など、自分の前に並んでいる人がどんな気持ちで買い物をしているのか観察するようにしました。


就職活動
就職活動は4年生の終わりごろから始めました。新聞を見て広告代理店はもとより、一般企業のマーケティングセクションで募集のあるところに履歴書とカバーレターを全部で30通くらい送りました。書類の選考が通った場合、電話がかかってきてそこで、電話面接になります。その後、実際の面接になるのですが、なかなか採用が決まりませんでした。というのも私の場合、ビザがネックになっていたのです。電話面接や、実際の面接で、それまでいい感じで話が進んでいても、自分が学生ビザであることを伝えると、そこで話はストップしていたのです。
 今の会社のスカイテレビでも最後の最後、雇用契約を結ぶ時点でビザの話が出ました。そこで私はすかさず「オファーだけくれれば、すぐ(ワークビザが)取れますし、自分で済ませます」と言い切ったところ、相手は「あっ、そう」といった感じでジョブオファーを作ってくれました。
 これまで、ビザのない人間を採用した経験が会社にはなかったのかもしれませんが、意外にあっさり受け入れられたのです。いまだに採用された理由ははっきりとはわかりませんが、物事に臨機応変に対応できるという自分の長所のアピールに加えて、日本人である利点、例えば細かいことが得意であるとか、どんなことでも丁寧にこなすことができるということを面接で強調したのが、功を奏したのだと自分では思っています。ただ、日本語が話せるといったことなどは私の場合、利点とはなりませんでした。


恵まれた仕事環境
 2003年の7月からスカイテレビで働き始めました。衛星放送であるスカイテレビの特徴は一般のTV局とは違い現在60の専門チャンネルに分かれていることです。ですから各チャンネルの視聴者も他局と比べて明確です。例えばスカイニュースはビジネスエグゼクティブが視聴者層になります。わざわざ毎月の受信料を払ってまで海外のニュースを見る必要がある人たちです。ここのチャンネルには高級車や少し値段が高いビールなどのCMが流れます。その他、Eエンターテイメントというチャンネルではハリウッドのゴシップを中心に流していますので、視聴者層は15〜39歳の女性と考えられておりCMは化粧品が中心になります。子供向けのチャンネルではお菓子やファーストフード、おもちゃが主流になります。
 CMの割り振りはクライアントの希望を第一にするのですが、組み合わせが難しいこともあります。例えば車のCMとアルコールのCMを同一番組内で流さないという業界の基本的な方針があるのですが、どうしても重なってしまうこともあります。そういった場合は番組の一番最初と最後に離して入れるようにします。アレンジに関してNZならではのことでは、陸運局とも言うべきLTSA(Land Transport Safety Authority)のCMがあります。皆さんも何度が目にしたことがある安全運転の啓蒙、飲酒運転の抑止のために作られている、時として背筋が寒くなる交通事故のシーンが流されるCMです。そのCMと車、アルコールのCMは絶対に一緒にすることができません。また、マクドナルドとバーガーキングのように同業種を一緒にすることもご法度で、これらは最も注意をしてアレンジする組み合わせの1つなのです。CMを出す側と、見る側の両方の気持ちを考える必要があるのです。
 スカイテレビはまだ歴史が浅いため改善する要素も多くあります。私が進めているひとつはCMを売るための番組表のリニューアルです。これまでは簡単な表計算ソフトでつくられた白黒のもので、お世辞にも見やすいものではありませんし、他局が小冊子のような形で番組表を出しているのに比べると見劣りしていました。これに色をつけて、番組の種類別にマークをつけて、一目でクライアントが狙っている視聴者層がわかるようにしました。些細なことですが、こういった細かいことがスカイテレビというブランドのイメージを上げていくと思って取り組んでいます。実はこれについては私自身が提案したことですので、その責任もあってじっくりと取り組みました。
 NZの会社は私のような新参者の意見にも耳を傾けてくれますし、それが良い意見であると判断されれば採用にもなります。こういった環境で仕事ができることは幸せなことであると思っています。今後のことは現在ではまだ想像もつきませんが、メディアの業界でがんばっていきたいと思っています。
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