インテリアデザイナー 技術を生かして仕事中
E-CUBE
言葉で伝えられたイメージを形にするインテリアデザイナー
松田有加子
MAI Design LTD Director Interior & Product Designer
大阪府出身。高校の頃よりデザインに興味を持つ。短大卒業後、インテリアデザインの専門学校に通い、プロダクトデザインの会社に入る。その後、日本のハイペースな生活を辞め、94年にNZに来る。2000年に自らのデザイン会社を設立し様々な店舗や家のデザインを手がける。現在はNZの建築士の資格を取るためユニテックに通う。将来的にはNZをベースに日本やオーストラリアにも仕事の幅を広げる予定。

日本人のインテリアデザイナーとして活躍する有加子さん。同時に主婦と学生という顔も持っている。
2000年にデザイン会社を設立して以来、オークランドの空前の建築ブームと共にレストラン、バー、ネイルサロンなど様々な店舗のデザインを行ってきた。
相手のイメージを実際の形にするデザイナーにとって一番大切なことはコミュニケーションであり、仕事で最も大切にしてきたことであると有加子さんは言う。
デザインの道
高校生のころは英語劇のクラブに所属しており、それなりに英語は好きでした。ただ、それ以上に美術やデザインに興味があり、進学に際しても芸術系の大学へ行きたいという希望がありましたが、私が通っていた学校は中高大と一貫教育の学校でしたので、そのままエスカレーター式に上がっていったのです。
 その最中に、やはりどうしてもデザインの道に進みたいと思い、卒業後にインテリアデザインの専門学校に入り、2年間勉強をして、プロダクトデザインの会社に就職したのです。ここではいわゆるモノのデザインをしていました。小さなものは刃物から始まって、食器、布、家具、オーディオ製品、大きなものはショベルカーまで、モノであればなんでも手がけていました。その他にも、デパートの店舗のデザインなども仕事としてあり、デザイナーとしては、多様なモノや場面に出合うことができ、楽しめる職場でした。私はこの会社で3年間、修行をさせてもらいました。


国際化に向けて
 当時はまだまだ、女性が会社で長く働くということがあまり一般的ではないという事情もあり、1つの会社に留まるだけでなく、もっと外に出て行こうと思い、フリーランスのデザイナーになることにしました。幸いなことに色々なモノのデザインを経験していたので、どんな種類の仕事も引き受けることができていました。
 そんな中、ほんの一部ですが、名のあるデザイナー達が海外の仕事を受けているという情報をちょくちょく耳にしていました。時代としてはバブルのころでしたので、どちらかと言えば、海外から有名デザイナーを連れてきて、デザインをしてもらう、つまり輸入することが流行っていたのですが、私自身、いずれは海外の仕事も受けてみたいという気持ちがあったので、逆に輸出している人たちがいることが気になっていました。
 そこで、自分も何かアクションを起こすことにしました。まずは英語だと思い、オーストラリアに語学留学することにしたのです。英語なんて高校卒業以来です。留学当初は、人の会話、テレビ、ラジオ、すべてが雑音にしか聞こえませんでした。何がなんだかわけがわからないまま、人と会話をしていました。会話の中で私はとりあえず、YESと言ってしまう典型的な人間でしたので、今思えばそれによって数多くの混乱を招いていたに違いありません。実際に混乱を招いていたにしても、当時はなにが混乱していて、何がそうでないかさえもわからない状態でした。覚えているのは、わけがわからないままバスに乗るのは危険だと思い、乗車時は必ず紙に行き先を書いて、運転手に見せていたことです。
 この語学力を上げるために、とにかく学校の勉強はしっかりこなすように心がけていました。フラットでは街の書店で買ったグラマーの本を一から読んで、そして書き写していました。英語で書いてある本で英語の勉強をする。なるべく日本語で考えないようにして、英語のことは英語で理解しようとしていました。
 半年くらいして、やっと耳が慣れバスにも紙なしで乗れるようになりました。そうして約1年間勉強をして日本に戻り、再びデザイナーとして仕事をしました。


海外でもデザインの道を
 私がニュージーランドに来たのはその後、数年経った94年のことです。一度海外での生活を経験してしまっていたため、日本でのすべてにおいて忙しいサイクルがだんだん窮屈になってきたのです。
 その当時には結婚もしていましたし、子どももいましたが、思い切ってこちらに来て、新しい生活を始めることにしました。そこで治安が良く、自然環境が多く残されているニュージーランドを選び、日本でレジデンスビザを取得して来ました。
 こちらに来て当初は子育て中心の主婦業に専念していました。その間は子どもが学校から持ち帰る宿題を一緒に解いて英語の勉強としていました。たったそれだけのことですが、期間としては約6年ですので、意外といい勉強になりました。
 そして、ちょうど子育ても一段落したところで、もう一度社会に出たいと思い、デザイン会社を設立しました。一度はどっぷりと主婦業につかっていましたので、今さらと言う気持ちはありましたが、この機会を逃せば二度と社会には戻れないだろうと感じていましたので、チャレンジすることにしたのです。
 会社の設立は2000年で、当時はアメリカズカップの影響でオークランドが変わりつつある時でした。この大きなイベントが始まる以前に、私がこの街で感じていたことは、とにかくモノが少ないということでした。タイル、ペンキ、キッチンやバスルームの種類、照明などの電気製品のどれを取っても、その種類、またそれを販売する店舗やショールームが少なく、選択肢があまりありませんでした。そのため、例えばレストランの内装のデザイン一つするにしても、タイルや照明の種類が限られるので、デザインはどうしても似通ってきてしまいました。
 また、アジア系の移民の人がレストランなどを始めようとしたときに「ニュージーランドの物価から、リーズナブルな予算で店舗をつくることができるのであろう」と考える人が多くいました。しかし、実際にはモノや仕事が少ない分、材料費や人件費が高くなり、実際は本人が予想していた倍額くらいの見積もりになるということもしばしばでした。
 ところが、アメリカズカップで産業が急速に発展するようになってからは、モノの種類、そして店舗やショールームの数も同じ速度で増えていきました。同時に競争も生まれ、コストも下がってきました。最近では種類の面でもコストの面でも、さらに改善されてきています。
 これまでヨーロッパからの輸入でなくては得られなかったものが最近では中国からも輸入できるようになり、価格は以前より下がってきました。しかしニュージーランドの市場の規模がまだ小さいため、付加価値の高いものは多少割高になってしまい、在庫も少量しか抱えることができず、現状ではかなり前もって在庫価格の確認をしないといけないという現状もあります。
 その一方で、高いモノの人気も出てきています。特にキウイの中ではイタリア製というのがブームらしく、特に照明器具やキッチンなどはその傾向が顕著に出ており、照明器具のお店のスタッフは冗談で「中国製のモノでもイタリア製と言ってしまえば、店の商品はすぐになくなるだろうし、売上だって上がると思うよ」というくらい、イタリア製という言葉に力があるようです。


建築ラッシュ
 私が現在行っている仕事は主に住宅や店舗のインテリアデザインです。そこで感じることにニュージーランドは家のリフォームが日本よりも盛んであるということがあります。こちらの感覚では家を買って、きれいにして、高く売る。 そしてお金を増やしていくという発想が強いためだと思います。また近年では土地を半分に分けて、家を建て、そこを貸したり、売ったりしている人も増えているようですし、オークランド近郊はこれまでにない建築ラッシュになっています。それだけ私たちのようなデザイナーにも仕事の機会が増えています。
 ただ、これによる工事の業者の人手不足も頭痛の種になっています。業者の人が忙しいために、現場になかなか現れず、工事が進まないということが日常的に起きています。私も何度も電話をかけ、いつ来るの?としつこいくらい催促するのですが、やはり今日かけて明日来るということがほとんどないのが現状です。


次のステップ
 今、仕事をしながらユニテックの建築士のディプロマコースに通っています。会社のスタッフみんなこちらの学校を出ていますので、インテリアだけでなく建築のデザインも行っています。私自身も他のスタッフに頼るだけでなく建築に関する知識を深めたいと思って通っています。またこれは仕事のチャンスを広げることになると思っています。
 会社を設立して当初は何もないゼロの状態で、まったくの手探りだったのですが、約4年が過ぎ店舗や家のデザインを手がけ、それらが私達の売り込みのサンプルになってきました。
 日本人であるイコール日本的なデザインという利点があるため、日本人以外のクライアントも多いのですが、今後は日本人のクライアントも増やしていきたいと思っています。例えば、これからこちらに来て事業を始めようとしている人には、私自身が持っている仕事を通してできたネットワークを利用して弁護士や会計士なども紹介できると思います。また、言葉の面でもお互いに理解しやすいということもあると思います。クライアントのイメージするものを実際の形あるものにしていくことがデザイナーの仕事ですから、お互いのコミュニケーションは重要です。こういった部分で日本人であることを生かしていければと思っています。

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