キャニオニングガイド 技術を生かして仕事中
E-CUBE
キャニオニングガイド
自然を通してニュージーランドの良さを伝えていきたい。
神保 智子
AWOL ADVENTURES LTD.
Canyoning Guide/Japanese Sales Representative

1980年生まれ。神奈川県藤沢市出身。高校卒業後すぐにニュージーランドに入り、ワンガレイの高校に通う。その後、AUTのDiploma in Fitness Training、私立のアウトドアスクールと通い、National Certificate in Outdoor Leadership を取得。01年よりAWOL ADVENTURES LTD (エーウオルアドベンチャーズ)でキャニオニング・ガイドとして働く。

ニュージーランドで日本人女性の活躍が増えている中、ついに女性アウトドアガイドが現われた。世界中から自然を求めて人が集まるこの国では、単に野外活動の技術だけではなく、英語も必須となってくる。それらをクリアーしオークランドのキャニオニング会社で働く神保智子。渓谷をロープを使って下り、水の中や小川を歩いたり、深い水溜りにジャンプして飛び込んだりするキャニオニングは日本ではまだ馴染みが薄い言葉であるが、これから広めていきたいという。ニュージーランドで日本人女性の活躍が増えている中、ついに女性アウトドアガイドが現われた。世界中から自然を求めて人が集まるこの国では、単に野外活動の技術だけではなく、英語も必須となってくる。それらをクリアーしオークランドのキャニオニング会社で働く神保智子。渓谷をロープを使って下り、水の中や小川を歩いたり、深い水溜りにジャンプして飛び込んだりするキャニオニングは日本ではまだ馴染みが薄い言葉であるが、これから広めていきたいという。
 キャニオニングとはロープを使って崖を降りたり、淵になっているところに飛び込んだりして川や沢を下ってくる自然遊びのことです。多くの人は子供の頃に経験したことがあるのではないでしょうか。川に入って全身ずぶ濡れになって家に帰って、親にあきれられたり、危険だと注意されたりした、あの小さな冒険です。それを大人になった今、ウエットスーツを着て、ハーネスをつけて堂々と楽しもうというものなのです。


智子さんがこの国に来たのは99年の5月。高校3年生で進路を決めるときに海外留学を決意。英語の先生に相談したところ、薦められたのがニュージーランドであった。
 留学の目的は英語を学ぶことでした。それで日本の高校を卒業してすぐにこちらに来て、ワンガレイの高校に通いました。しかし、英語そのものを学ぶだけでなく、何か他に目的があった方が早く身につくと思い、11月にIELTSを受け、高校を途中で辞めて翌年の2月からAUTのDiploma in Fitness Trainingに通うことにしました。そこはフィットネスクラブのインストラクターを養成するコースで、栄養学や生理学など人体の仕組みから経理・経営まで、独立するのであれ、スポーツクラブに所属するのであれ、インストラクターとして必要な要素を学ぶコースでした。そこで一年間勉強をして、いよいよ卒業そして仕事をするとなった時に、私は一日中室内にいるのではなく、外へ出て仕事がしたいと思いました。

 そこで再度、アウトドアの学校に通うことにしました。アウトドアの学校は一年間のコースが普通ですが、私が選んだところは半年間のコースでした。その分、時間的にはハードで、リスクマネージメントや心理学など諸理論は家で徹夜して覚えました。

 実習ではシーカヤック、ブッシュウォーク、ロッククライミング、アブセイリング、初めて会った仲間とゲームを通して信頼関係を作っていくアドベンチャーベースドゲームなどがありました。最後はテントや寝袋を持たずに最小限の荷物で山に入るサバイバルナイトがあり、木と葉っぱでシェルターを作りそこで夜を明かしました。そして筆記試験を受けNational Certificate in Outdoor leadershipを取得したのです。これは国の検定試験で、アウトドアガイドとしてゲストを案内する上で必要な知識や技術を保有している証明になるものです。


日本ではなく海外に出てまで勉強をしているという意識が、常に智子さんにはあった。そのためキウイの生徒たちより講義を熱心に聞き、実習にも真剣に取り組んだ。その日々の積み重ねを講師の一人が高く評価した。
 学校に講師で来ている一人が今の会社のアウトドアガイドだったのです。そして就職活動をしているときに彼は私をAWOL Canyoning LTDに誘ってくれたのです。

会社へ行きダイレクターと話した後、実際のツアーを体験するために社内の3日間のコースに参加しました。それが面接とテストのようなものでした。マネージャーと一緒に川を降りながら、ここは、どの箇所が危ないと思う?何が危ないと思う?などと途中で色々質問を受けました。それが終わり、研修をしながら働くことになりました。


智子さんを採用するにあたり、マネージャーのケムさんは次のように語ってくれた。
 智子はどんなことにも真剣に取り組んでいました。そのため、理解が非常に早かった。また性格も明るく積極的で、自分自身がキャニオニングを楽しみ、それをゲストと共有することができると思いました。これはガイドとして非常に重要なことだと思っています。私達のゲストはキウイだけでなく世界中の人が相手になりますから、どんな国の人とでもすぐに打ち解けなくてはなりません。その点では問題はないと思いました。彼女の英語についても問題はありません。これは採用以前の大前提です。今では大きな声を張り上げてまるでキウイの女の子のようにゲストを引っ張っています。また、彼女が日本人であることは採用とは関係がありません。ただ、これからは日本のマーケットも考えていこうとは思っています。


キャニオニング・ガイドとして研修を始めた智子さんは毎日のようにツアーについて行った。

 キャニオニングは渓流を歩いて降りる川遊びです。ただ普通に川の上から歩いて降りてきたのでは服や靴は濡れてしまう。そこで、ウェットスーツを着て濡れてもいいようにします。また、川には狭い場所や高い滝などがあります。そういうところでは迂回するか、危険を冒しても降りなければなりません。そこで、ハーネスをつけてアブセイリングで降ります。淵があればその中にジャンプをして飛び込んだりもしますし、岩や木が覆い被さってトンネルになっているところではプールにあるウォータースライダーのように滑ったりもします。とにかく、上流から川に沿って、川の中を、まっすぐに降りて行くのがキャニオニングなのです。

 私はまず、ツアーを完全に覚えたいと思いました。そこで毎日ツアーについて行きました。たとえゲストが一人であっても先輩のガイドについていき、説明の仕方や効率よく準備をする方法、そして一番大切な川を覚えるようにしました。

 どこに木があって、どこに岩があって、この淵の深さはどれくらいで、私の身長で足がつくのかつかないのか、ここはコケがついていて滑りやすい場所だ、この穴はこれくらいの体の大きさまでは通ることができるなど。それに伴って「もしも」ということを頭において危険を予測するようにしました。ただ通り過ぎてしまえば危険は予測することができません。綺麗な景観のところだったで終わってしまいます。ガイドである以上、コースの途中であらゆることに対処しなければならないと思い、注意深くコースの状態を観察するようにしました。自分が通るところに小さな枝が出ていても顔の高さによっては目に入ってしまうこともあると思ったりもしました。

 すると、同じコースでも毎日状況が少しずつ違っていることに気がつきました。自然を利用したコースですから当然ですよね。雨が降ったとき、渇水のとき、岩や木の高さが変わってきます。淵や瀬の深さも変わります。すると、昨日までは飛び込むことができた淵でも水が少なくなっている今日は危ないのではないか、逆に水が多くなっているので石が隠れているけど、あそこはいつもコケがついているところだから、滑りやすくなっているんじゃないかというような、見えない場所の危険性に気がつくようになりました。

 もちろん、ゲストを楽しませることも忘れてはいません。ここでは、ワイタケレの説明をする、ここでこの木の説明をする、というような場所も考えていました。入ったばかりの私はキャニオニングの経験回数が他のスタッフより少ないのだから、それを多くすることが必須の課題でした。その上で、会社の中で誰よりもコースを知っていると言われるようにしたかったのです。

 ただ、こうやって毎日蓄積した情報も、シーズンが変われば古くなってしまいます。ですからシーズン初めには皆でコースをゆっくり回り、一つ一つ場所を検証し直します。

 今では私もリーダーとしてゲストを引っ張っていくことができるようになりました。今シーズンではボスの次くらいにコースを知っているようにもなりました。


シーズンオフには仕事の数は激減する。その間を利用して智子さんはアメリカやヨーロッパなどを訪れ、研修を受けたり別の国でのガイド経験を積んでいる。
 こことは夏が逆になる北半球に行き、そこで研修を受けたり、実際にガイドとして働いたりしています。技術面を充実させようと思い、アメリカではキャニオニングのレスキューコースの研修を受けました。またスイスに行きラフティングとキャニオニングのガイドとして働きましたし、南島のネルソンでラフティングガイドもしました。

 これらは私にとって大変意義のあることです。国によって、方法や基準が違うことを知りました。キャニオニングでレスキューをする際に、スイスは登山ガイドが本場ですから技術はそちらからのものを転用しているところがありました。一方、アメリカではキャニオニング独自のもので、両者の間では使う道具も違っていました。

 また、スイスとニュージーランドではガイド自身の安全面に対する考え方も違っており、ニュージーランドの方が、よりガイドの安全確保については厳しく考えられています。

 アウトドア大国と呼ばれるニュージーランドには多くのアウトドアガイドが存在し、職業としてのガイドが成立している。しかし、日本同様、ショップ経営と並行していたり、季節的な仕事であったりする場合が多く、ガイドそのものだけでの成立はまだ少ない。アウトドアガイドとしての認知度が高いフィッシングガイドでさえも、副業を持たずに一家の生計を支えるほど収入を得ているガイドはほんの一握りの有名ガイドだけであり、多くは他に副業を持つ者であったり、収入を気にしなくていい年金生活者であったり、収入バランスを考えるとガイドが副業であると言った方がいい場合もある。

 冬になると仕事が減ってしまうので今年もヨーロッパに行くことも考えています。具体的なとはないのですが、それと同時にニュージーランドの中でできることも考えています。

 ニュージーランドに来る人にこの国の良さを知ってもらうには自然の中に入ってもらうことが一番だと思います。キャニオニングは五感のすべてを使って楽しむことができる遊びです。つまりこの国を体全部で楽しむことができるのです。なかにはハードなイメージを持ってしまう人もいるかもしれませんが、誰でも楽しむことができます。日本から私の家族が遊びに来たときには、空港からホテルに行く前にここでキャニオニングを楽しんでもらいました。私のおばあちゃんも参加しました。

 また、日本人のゲストにも、もっと参加してもらいたいと思っています。私がガイドをしているので言葉の面で心配する必要はありません。

 私はガイドをしている最中はまだ緊張しています。ツアーには危険も伴いますから常に周りに気を配っていることが必要です。アブセイリングでゲストを崖の上から降ろしているときは、後ろで誰かが少しでも動くとビクッとしてしまいますし、降りるときに使う金具のカラビナは自分でもやりすぎだろうというくらいチェックしてしまいます。ボスはもう少し経験を積めば安全を確保して、その上で心からリラックスしてツアーができるようになるよと言ってくれますが、まだまだ先のことのように思います。それには技術、知識をもっと吸収したいと思っています。そうしてこれからも自然を通してニュージーランドの良さを伝えたいと思います。
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