エアロビインストラクター 技術を生かして仕事中
E-CUBE
エアロビインストラクター
エアロビクスを楽しむ、それがキウィスタイルです。
上原 陽子
インストラクター
73年10月埼玉県所沢市生まれ。
日本体育大学体育学部健康学科卒業。フリーのインストラクターを志した時、研修中にオーディションを受け、見事合格した経歴を持つ。その多忙さは1年のうち休みが5日という年もあったほど。
大学生のときに始めたアルティメイト(フリスビーを使ったアメリカンフットボールに似た競技)では発祥の地アメリカに遠征しこともある。

ニューマーケットとパクランガにスタジオを持つ女性専用フィットネスクラブ「mainly women」でエアロビクスのインストラクターをする上原陽子。彼女のステージは英語というハンディを感じさせることなくキウイの会員からの人気を着実に上げてきた。そこには経験と知識に裏づけされた自信と、言葉以外でも伝えようとする強い意志があった。
 大学在籍中にフィットネスクラブでアルバイトを始めてそこでエアロビクスに出会いました。それからどんどんその魅力にはまっていき、エアロビクスに関わるところで働きたいと思い、卒業後そのクラブに就職しました。
 でも、そこでは私がエアロビクスのインストラクターとしてステージに立つことはありませんでした。通常、それをクラブの社員がすることはありません。外注になるのです。私のような社員の仕事はジムのトレーナーやスイミングのコーチといった実践的なこともありましたが、受付や総務的な業務など、クラブの運営に携わる内容がほとんどでした。そういったことも好きですし、勉強にもなりました。しかし私が本当にやりたい仕事はエアロビクスでした。それで2年後にはフリーランスのインストラクターになったのです。
 ところが、ある時にふと、将来に不安を感じたのです。このままインストラクターを続けられるのだろうかと。今まで好きだというだけで突っ走ってきたので少し充電して考えてみようと思い、それで海外に出てみたのです。
 渡航先をニュージーランドにした理由はワナカにフィットネスクラブを経営している友人がいたから。シンプルな理由であった。  オークランドに到着後、語学力に少し不安があったので数ヶ月は英語を勉強しようと思いました。その後にワナカの友人を訪ねて働かせてもらうつもりでいたのです。しかし、私が学校に通っている時にそのクラブが倒産したという連絡を受けたのです。
 ショックでした。私がこの国に来た理由が消えてしまったのです。正直に言うと日本へ帰りたい、もう帰ろうと思いました。しかし、わずか1、2ヶ月では恥ずかしくて帰るに帰れませんでした。それから数週間は何もしないでオークランドに残ったままプラプラしていました。中途半端な状態だと言うことは理解していましたが、何をどうしていいのかわからずに毎日が過ぎていきました。


帰る理由と残る理由。そのジレンマに陥っているときに友人に教えてもらった一行の新聞広告が陽子にとって転機となった。
 オークランドの新聞ニュージーランドヘラルドに載っていたエアロビクスのインストラクター募集広告でした。電話してみると明日、来てくれという返事。着替えや靴を鞄に詰め込んでスタジオに向ったのです。日本での選考は一人一人時間をとって、動きなどの審査をされます。しかし、ここでのテストは日本とは違っていました。マネージャーは私を実際のクラスに出し、会員さんの前でレッスンをさせたのです。言われるままにステージに上がり、60分のレッスンを2本。しばらくの間エアロビクスもしていない、まして英語だってまともに話せない。初めは無我夢中でステージに立っていましたが、ほとんど何もできていない自分がだんだん情けなくなってきました。「私は何をしてるんだろう?最近まともに体も動かしてなかったのにどうしてここに立ってしまったんだろう?」 しかし、レッスンを受けている人には迷惑はかけられないという思いで必死に続けていましたが私にはギリギリのところでした。もうあと5分時間が長かったら、その場から逃げ出していたかも知れません。そしてレッスン終了、同時にオーディションも終了しました。「それじゃあ、来週から来てね」恥ずかしさのあまりステージからすぐに更衣室に向おうとした時に、マネージャーが言ったその言葉の意味を私は理解できませんでした。多分、日本語であったとしても同じように聞き返していたと思います。まさか合格するなんて夢にも思いませんでしたから。
 その日から私の「楽しいニュージーランド」の始まりでした。ところが2,3回のレッスンですぐに浮かれていた気持ちは吹き飛んでしまいました。


日本とニュージーランドの違い。それは陽子がチャレンジしたエアロビクスにも当然のように存在していた。
 始めてすぐにクレームが山のように飛んできて、レッスンのある日には体調が悪くなるくらいでした。私は当初、ビギナークラスを担当していたのでプログラムもそのように組んでいました。すると多くの会員さんから、レッスンが簡単すぎるというクレームをもらったのです。日本であればそういったことは通常マネージャーを通してインストラクターの耳に入ってきますが、ここの場合はすべてダイレクトです。
 レッスンが終わると私のところに近寄ってきて会員さんはそれぞれ意見をぶつけてきます。
 私のレッスンが簡単だという意見が出るには理由がありました。「リズムが早い」とか「激しい運動をする」イコール「レベルが高い」「充実したレッスン」という固定概念を持つ会員さんが大勢いたため、私のレッスンでは体を動かしたという充実感を得られる人が少なかったのだと思います。
 私は日本で「運動効果」を徹底的に勉強してきました。ですからそれに基づいてプログラムを組んでレッスンをしました。ゆっくりしたリズムでも十分に脂肪が燃焼できるものであったり、ステップ運動などの台を少し高くすることによってスピードを上げなくても効果があがるといったものです。
 しかし、それを私の説明ではなかなか伝えられませんでした。ちょっとした言葉の言い回し、ニュアンスの違い、何よりもその頃は私と会員さんの間に信頼関係が成立していませんでした。
 クレームをもらうたびに私はマネージャーに相談をしました。彼女は私の考え方を理解しているだけでなく、彼女自身も運動効果を考えたプログラムを実践したいと思っている人でした。私にくれるアドバイスはいつも「強引に自分の考えを通しても誰もついてきてくれないなら、少しずつ変えていきなさい」というものでした。


自分のスタイルをニュージーランドで表現する方法を探し、陽子は色々なフィットネスクラブを見て周った。
 ある一つの大きな流れを感じました。それはみんな同じ音楽、同じ動きをしているということでした。インストラクターの動きも同じなのです。流行の曲がかかると、みんなで歌いだす部分も同じなのです。
 驚きました。全員が同じ動きで、私が考えている運動効果というものからはかけ離れたレッスンでした。しかし、みんな楽しそうに体を動かしていました。それを見た時、スポーツに対してのこの国の人の姿勢である、楽しむということを再認識したような気がしました。ただ、全員が同じ動きということには私自身納得がいきませんでした。しかし、振り返って自分のクラスを見ても同じようなことが起こっていました。
 私がコリオグラフィーという振り付けのプログラムを立てるときはいつも最も簡単なベースAというものを作ります。その上でレッスン中に、Aができる人は、それに腕を回したり、一回転したり、ジャンプしたりするBという動きを加えるようにアドバイスをします。それができる人にはCという動きを、というように、同じクラスでも運動のレベルがまちまちなので、個々の会員さんにそれぞれ選択肢を持ってできるように説明していました。
 ところが、会員さんはステージに立つ私と同じ動きをするのです。私が簡単なAの動きをしていればみんなA、少しBを取り入れた動きをすればBといったように。
 これでは、他で見たレッスンと同じになってしまう。楽しむことを忘れないようにする。しかし私の持っている技術も伝えたい。
 そこでレッスン中、基本動作以外の動きの説明をする時には特に、場内を動いて後や横にいる会員さんにも私の動きがハッキリと見えるように立ち位置を常に変えるようにしました。今まで曖昧にしかBやCの動きを理解していなかった会員さんに明確に伝わるようにするためです。そして、レッスン以外では話をする機会を増やして会員さんにそれぞれのレベルにあった運動をすればいいということを説明するようにして、内容がよりクリアーになるように務めました。


熱意が認められて、所属していたmainly womenのサポートを受け今年の5月にワークビザを取得。いよいよニュージーランドで本格的にエアロビクスに取り組むことになった。
 ニュージーランドのインストラクターの多くはレッスンの開始5分前に来る人が多いのですが、小心者の私には到底、真似のできないことで、日本にいた頃と同じように30分前にはスタンバイしています。それで会員さんとのコミュニケーションが多く取れます。なにより嬉しいのは私の考え方を理解してくれる人が増えてきたのです。
 うまくはない英語でも一生懸命伝えれば、レッスンを受ける側の視点で考えて動けば、理解してくれます。クラスでは少しずつですが、それぞれのレベルに合わせた動きをする人が出てきました。私は今、ニューマーケットとパクランガの両方のスタジオでステージに立っています。その各クラスで運動効果を出すこと、楽しんで充実感があること、この2つを併せもったレッスンを作るように心がけています。それこそが、これからのニュージーランドの主流になるように、まずは私のクラスから始めていきたいと思っています。
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