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ニュージーランドで公認会計士になるためには、通常7年かかります。
獅子田 亜紀
STAPLES RODWAY - Client Advisory Services
75年生まれ。神奈川県出身。
高校卒業後すぐに、クライストチャーチの英語学校に語学留学。その後、ポリテクへ進みツーリズムを学び始めるが途中でビジネスコースに変更し、そこでアカウントと出会い、ニュージーランドで公認会計士になるという自分の進路を見つける。カンタベリー大学に入学し、アカウントを専攻し、02年2月よりオークランドの監査法人「STAPLES RODWAY」で勤務を始める。「STAPLES RODWAY」では亜紀さんの他にマネージャーのアネットさんが日本語での対応をしてくれる。

ニュージーランドにいる以上は、何事にも英語はついて回る。しかし英語がネイティブでない者にとってはできれば英語でなく母国語でコミニケーションを取れればと感じる事柄もある。法律、疾病に並んで、会計ということがらもその一つではないだろうか。オークランドの監査法人に勤務する亜紀さんはニュージーランドの公認会計士を目指して日々、数字と格闘している。
 中学を卒業するときに家族でオーストラリアに行きました。その時に海外とか、英語とかに興味を持ったのです。ちょうど高校3年になった頃から、自分で色々な本を買ったりして、コツコツとニュージーランドのことを調べ始め、半年以上かけて、クライストチャーチの英語学校の入学の手続きをしました。それで、高校を卒業してすぐに94年の4月にニュージーランドに来ました。
 1年間、語学学校に通いながらホームスティをしました。その後はそのままクライストチャーチに残ることにしました。英語を1年間学んだので、次に英語を使って何かを学びたいと思ったからです。もともと旅行業界に興味があったこともあり、深く考えずにポリテクのツーリズムに入りました。しかし、入ってみるとあまり私には向いていないような気がしてたので6ヶ月のコースが終了したときに、ビジネスのコースに再び入りました。これが私と今のアカウンティングとの出会いでした。
 2年間のコースの中ではビジネスに関する勉強が広く浅く行われます。経済、法律、コンピューター、その中に会計があったのです。その講義では最初はバランスシートと呼ばれている貸借対照表を埋めていくことから始まったのですが、これが私にはすごく面白かったのです。バランスシートでは基本的にdebitの数字とcreditの数字が同じになる必要があります。その数字をあわせていく作業が謎解きみたいで、それが不可解であればあるほど、解けたときに達成感を味わうことができたのです。その時はこのバランスシートを考え出した人は本当に偉いと思うほど楽しくて仕方がありませんでした。


2年間のビジネスコース終了後、亜紀さんはカンタベリー大学のBachelor of Commerceに進み、専門を会計学にした。
 ポリテクへ通っているときに本当に自分が好きなこと、進みたい道を見つけることができたので、カンタベリー大学に進学してニュージーランドで公認会計士を目指そうと思ったのです。
 大学は通常3年間で終了します。1年目は一般教養を中心に、2年目、3年目に専門科目に入っていきます。
 専門科目ではニュージーランドでのアカウントの方法、税金の事、監査の事などが科目になります。アカウンティングは世界各国、国によって様々です。ここではニュージーランドで通用する方法を学ぶ事になりました。そして3年でBachelor of Commerce、つまり学士の単位は与えられて卒業です。しかし、公認会計士になるためには他の科目の単位や公認会計士のための必修科目も修めなければなりません。それらは全部で20科目ほどあり、1年で大体5科目ずつ履修していき、4年かけて全ての必修科目をこなしていきます。中には3年間で全て取ってしまう人もいますが、通常は学士が取れた後でも大学に残り、1年間それらの科目を勉強し、4年かけて大学を卒業します。私の場合も4年でその単位を修得しました。


就職活動は大学4年生のときに始めた。
 大学の就職部に会社の情報を貰いに行き、10社くらいに履歴書を送り、面接は全部で5社くらい受けました。そこではとにかく話をすることを心がけていました。私はキウイに比べて英語がハンディになるということはわかっていましたので、逆にそこを逆手にとって、喋り負けしないようにしなければいけないと思っていました。各社の面接の中ではコミニケーションという話題が最も多く出てきました。「あなたは人とどのようにコミニケートするの?」「人生の中で一番難しかった人とのコミニケーションは何?それをどうやって解決したの?」などの質問を多くされました。それらの質問にどう答えたかは忘れてしまいましたが、一生懸命に喋っていたという記憶だけが残っています。
 そして「STAPLES RODWAY」という現在勤めている監査法人に就職が決まりました。その時は私を含めて8人が入社しました。


就職と同時に公認会計士への道の新しいスタートが始まった。
 ニュージーランドで公認会計士になるためには社会での実務経験も必要になります。まずは1年間、監査法人、会計事務所での経験あるいは、一般企業の経理で経験を積みます。これはどちらかといえば、General Experienceですので、1年間社会人として経験を積みなさいという性格のものです。そしてProfessional Competency Examination I (PCE I)という試験を受けます。内容は筆記とプレゼンテーションです。筆記よりも重視されるプレゼンテーションでは「例えば、あなたが担当している会社で何か問題が発覚したときに会計士としてそれにどう対応するか」といったもので主に倫理面での出題になり、その問題を数人の受験生がお互いに話し合うものです。これは問題提起に対しての結論も、もちろん大切ですが、倫理面が問われる設問ですので、その結論に到るまでのプロセスが最も重視されます。
 その後、監査法人、会計事務所あるいは公認会計士が在籍する会社で会計業務に2年間携わり、再びProfessional Competency Examination IIを受けます。これはPCE I同様にプレゼンテーションを行い、半年間かけて毎月、レポート提出やワークショップに参加して最後に筆記試験を受けるものです。
 私は現在、Professional Competency Examination IIの受験直前といった状況です。


亜紀さんが勤務する「STAPLES RODWAY」の社員数は約100名。ニュージーランド資本の監査法人では最大手の中の一つである。
 弊社は総合規模が世界でトップ10に入り、60ヶ国100以上の独立した会員を持つ、ベーカーティリーインターナショナル・ネットワークのメンバー会計監査法人です。このネットワークはアメリカでは第5位の規模を誇り、東京や大阪にもメンバーを持っているので、日本とのビジネスにもスムーズに対応出来るようになっています。
 私はClient Advisory Serviceというセクションに所属しています。働き始めたのは2002年の2月からで、最初は雑用が続く毎日でした。やがて、個人のタックスリターンや、G・S・Tリターンなど、簡単なアカウント業務をさせてもらうようになりました。私はこれまで社会経験がなかったので、そういった仕事の中で、少しずつ学んでいきました。すごく基本的なことではFBT(Fringe Benefit Tax)と呼ばれる付加給付のこともそうです。例えば会社が所有する自動車を社員が仕事以外に使った場合、それは個人の利益とみなされそれに対して税金が課される、つまりPAYEのようなものがそうです。
 一つ一つ仕事を覚えていき、慣れてきたときに失敗したことがありました。銀行へ提出する書類に計算ミスがあったのです。書類を作成するときは通常、コンピューターで表計算のソフトを使用します。その際に本来、各セルにかかっているはずの計算が外れていて、計算されていなかったのです。確認をしないまま、それを提出してしまい、上司のチェックでミスが発覚しました。それ以来、提出前には何度も確認をするようになりました。また、私が日本人であるがゆえに簡単な単語であっても、スペルミスも同様に気をつけています。
 現在は、公認会計士の資格取得に向って勉強を続けながら、仕事をしています。私の担当は多いときで約20社あります。私達の仕事はクライアントが納める税金がなるべく少なくなるように考えることも大切なことになりますので、資料の中から支出としてクレームできる項目を自分でも探すようにしています。それを見つけて、上司に尋ねて、採用されたときはとても嬉しい瞬間です。
 そのためには税金の法律について常に新しい情報を持っていなければなりません。会社にはタックスロイヤーと呼ばれる税金を専門で扱っているセクションがあり、そこに10名ほどのスタッフがいます。彼らは会計士というよりは法律家と呼んだ方がいい存在で、そのセクションで常に税法のアップデイトされた資料を作っています。税法はしょっちゅう変わっているので、その資料に目を通す事は欠かせなくなっています。
 私はニュージーランドで勉強して、そして仕事ができるようになったことを幸せに思っています。会計の用語においては英語の方がシンプルで頭に入りやすかったので、もし日本で会計のことを勉強していたら、言葉の問題で好きにならなかったかもしれません。バランスシートと貸借対照表など、個人的には英語の方が簡単でした。勉強自体は覚えればいいということが多いので、そんなに苦にはならないのですが、テストでプレゼンテーションをするときの英語の使い方などはネイティブでない分、発音や言い回しだけでなく、喋り負けしないように気をつけています。また、大学で4年間、社会人で3年間の合わせて7年間かけて取得できるライセンスなので、取得するまでの長い道のりが大変です。
 私の職場環境は非常にフレンドリーで、性別や年齢によって優位が決まるわけではなく仕事ができれば認めてもらえるという環境です。そういった中で仕事や勉強ができることは本当に幸せなことで、今後もこの国で会計の仕事を続けていきたいと思っています。
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